営業経験者がカスタマーサクセスへと転職を検討するケースが身近にも増えている気がします。
「カスタマーサクセスって営業と何が違うの?」と友人・知人から聞かれることも増えてきました。
今回は、法人営業・新規開拓セールスからカスタマーサクセスへとキャリアチェンジした、私自身の経験も踏まえながら、カスタマーサクセスと営業の違いについて説明します。
カスタマーサクセスと営業の違いは大きく4つ
カスタマーサクセスと営業では、大きく次の4つの違いがあります。
- 「追うべき結果」が違う」
- 「仕事で感じる喜びのポイント」が違う
- 「1顧客と関わる期間の長さ」が違う
- 「組織体制」が違う(CSは分業が進む)
もし営業からカスタマーサクセスへの転職・キャリアチェンジを考えている人は、この4つの点をぜひ理解してください。
ぶっちゃけ営業からカスタマーサクセスになれるの?おすすめなの?
結論、いくつか注意点はありますが、営業からカスタマーサクセスになることはできます!
営業には営業の面白さがありますが、今後のキャリアに少し不安があればカスタマーサクセスを検討してみる価値はあると思います。
私は営業からカスタマーサクセスにキャリアチェンジしてとても良かったと思っています。
詳細は下記の記事で自分の体験談を語ってますので参考にしてみてください。
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それでは、営業とカスタマーサクセスの4つの違いについて見ていきましょう。
①カスタマーサクセスと営業は「追求する結果」が違う
「カスタマーサクセスと営業は違うの?」と聞かれたら、答えはYES(「違う」)です。そして何が一番違うかというと、それぞれの職種が追い求める結果が全く異なります。
営業の結果は「契約件数と契約金額」
営業という仕事は、ざっくりとまとめると
「アポ獲得」→「商談(1回〜複数回)」→「契約・成約」
という流れになっており、最終的には「契約件数・契約金額」を追い求めていきます。
毎月単位・四半期単位・半年単位・年間単位で、自分自身がいくら売り上げることができたのかが最も大事になりますよね。
カスタマーサクセスの結果は「LTVの最大化」
それに対して、カスタマーサクセスという仕事は、
「契約・成約」→「オンボーディング」→「アダプション/エクスパンション」→「契約更新」
という流れになっており、最終的には「契約の更新」を追い求めていきます。
契約更新月の1ヶ月前に連絡して「契約をご継続いただけそうでしょうか?」と聞いて終わり…というのは全くカスタマーサクセスではありません。
正確には、カスタマーサクセスでは「既存顧客のLTVの最大化」を追い求めていきます。
LTVの最大化とは?
カスタマーサクセスでは、1顧客のLTVを最大化することにフォーカスします。
LTV=Life Time Value(顧客生涯価値)とは、
「1顧客が取引の開始から終了までの間で支払ってくれるお金の総量」です。
サブスクリプションのビジネスの場合は、
1顧客あたりの「契約金額」×「契約期間」= LTV となります。
この場合は、契約金額をいかに大きくし、契約期間をいかにの伸ばすかが重要になります。
カスタマーサクセスでは、まず何よりも「継続していただくこと(継続率を高く維持すること)」が大事です。
そして、次に「プランをアップグレードしていただくこと」「オプションのサービスや商品を追加で契約いただくこと」を追い求めていきます。
それぞれの要素を可能な限り最大化していく。大袈裟に言えば、以下の3つを全て実現させることを目指します。
- 継続期間は無限
- プランは最上級プラン
- オプションは全て契約済み
とてもざっくり言うと、何度も来てくれる気がしれた「常連さん」で「高い商品・高いプランをいつも買ってくれる」というお客さんをいかに生み出すかという話になります。
②カスタマーサクセスと営業は「感じる嬉しさ・やりがい」が違う
カスタマーサクセスと営業の仕事をそれぞれやってきて思うのは、やりがいや嬉しさを感じるポイントが違うというところです。
営業の嬉しさは「顧客に期待で購入してもらうこと」
営業・セールスのやりがいというのは、
「初めて会ったお客さんにいかに自分自身のことや自社のサービス・プロダクトのことを信じてもらって契約をいただくか」
という点だと考えています。
何も関係性もなかったところから、提案を重ねて、期待や信頼を勝ち取って契約に至るというのは非常にスリリングな経験で、実際に成功すると嬉しいことです。
カスタマーサクセスの嬉しさは「顧客に成功を体験してもらうこと」
一方、カスタマーサクセスのやりがいというのは、
「自社のサービスや製品を使ってもらっていかに成功体験を得てもらうか」
です。
例えば、業務省力化のサービスを提供している場合、実際にお客さんがそのサービスを活用して「業務時間」を減らすことができた。その結果、働きやすくなって働く環境が明るくなった。
このような形で、サービスを使ってもらうだけでなく、その先にある価値を実感してもらえるとカスタマーサクセス担当としては非常に嬉しいものがあります。
③カスタマーサクセスと営業は「1顧客と関わる期間の長さ」が違う
短期で関わる営業
営業・セールスにおいて、もし一つ残念な点を挙げるとすれば、営業・セールスをやる自分は、契約後のお客様がどうなるかまで関与できないということです。
新規開拓の担当であれば、自分はすぐさま次の見込みのお客様のところへ行く必要があります。
もちろん契約後も仲の良いお客さんはいる場合もありますが、基本的には1つ終わったら次の顧客開拓に、どんどん移っていくのが営業の特徴です。
長期で関わるカスタマーサクセス
一方、カスタマーサクセスでは、顧客のサービス活用そしてその先にある価値の実感まで、顧客との関係は長期間に渡ります。
顧客の中にはなかなか動いてくれない方もいます。顧客に成功を実感してもらうためにも、サービスを使いこなせるように、地道なアクションを長く続けていきます。
営業・セールスのような華やかで明確な「契約」というゴールがあるのとは違って、カスタマーサクセスは「サクセス」という抽象的なゴールを目指して日々地味に地道に顧客を支援するところがあります。
④カスタマーサクセスと営業は「組織体制」が違う
最後に、カスタマーサクセスと営業の違いは、組織体制です。
営業・セールスの組織体制は割とシンプル。カスタマーサクセスは割と多様化します。
営業・セールスの組織は「シンプル」
最近は、営業・セールスの中でも分業化が進んでいると思います。
- マーケティングチームがリード獲得した見込み顧客に連絡をするインサイドセールス
- そして商談を行うセールス(インサイドセールスが兼任する場合もある)
- セールスが営業だけに集中できるように事務作業を巻き取る営業事務・デスク
という感じで分かれていると思いますが、基本的には「営業・セールス」というと、インサイドセールスかフィールドセールスのどちらかが多いと思います。
カスタマーサクセスの組織は「分業化が進む」
いっぽうカスタマーサクセスでは、現在様々な職種が生まれてきています。
カスタマーサクセスでは、数百・数千・数万という顧客と何年間も関わりを持つことになります。その中には、契約したばかりの顧客もいれば、もうすでに数年間自社サービスを使い続けてくれている顧客もいます。システムに慣れているお客様もいれば、得意でないお客様もいます。
その状況の中、顧客ごとに価値を効果的に届けていくため、近年カスタマーサクセスにおいても分業化が進んでいるのです。
一般的には、法人規模が大きければエンタープライズ、中小規模であればSMBと分けます。
そして、顧客の契約期間を軸としてフェーズを設定して、オンボーディング・アダプション・エクスパンションという形でチームを分けることも多いです。
さらには、カスタマーサクセスチーム全体の生産性を高めていくカスタマーサクセスオペレーション(CS Ops)や1対多で間接的に顧客を動かしていくカスタマーマーケティングという職種もあります。
カスタマーサクセスといっても、現在はさまざまな役割・職種があるので、自分自身がどんな体制の中で、どんなポジションになるのかをしっかりと理解しておきましょう。
営業にはないカスタマーサクセスで苦労したポイント
カスタマーサクセスでは、「顧客の理解」と「自社プロダクトの理解」が営業よりも求められます。
顧客の理解
カスタマーサクセスにおける顧客の理解とは「顧客業務の理解」です。
さまざまなタイプの顧客があり、その顧客タイプによって業務フローも変化します。
顧客そのものだけでなく、顧客の業務も広く・深く理解することが求められます。
自社プロダクトの理解
そして次に求められるのが、自社プロダクトの理解です。
例えば、下記のような状況になることが日常茶飯事です。
- 顧客の業務に合わせて、A機能とB機能のどちらを使っていくのが良いのか、それはなぜなのか、プロダクトの癖を理解して顧客に説明する。
- 顧客がプロダクトを使ってやりたいことができないとき、問題がどこにあるのか、それが仕様なのかエラー・バグなのかを可能な限り素早く判別して代替案を提案する。
プロダクトの構造・癖・挙動、代替案となる機能、あるいは使い方の抜け道など、こと細かに理解しておくことが大切になります。
カスタマーサクセスになりたての頃は、自分よりもお客さんの方が自社のサービス・プロダクトに詳しいということがかなりあります。
社内の情報を自分で集めながら、ときにはお客さんに教えてもらいながら、サービス・プロダクトの理解を深めていきました。
まとめ
以上が、営業からカスタマーサクセスへとキャリアチェンジした経験を踏まえた、カスタマーサクセスと営業の違いでした。
- 「追うべき結果」が違う
- 「仕事で感じる喜びのポイント」が違う
- 「1顧客と関わる期間の長さ」が違う
- 「組織体制」が違う(CSは分業が進む)
ただそんな違いがあっても、営業からカスタマーサクセスにキャリアチェンジしても活かせることは多々ありますし、メリットやチャンスもあります。
私のキャリアチェンジの体験談をこちらの記事でまとめています。
根本・本質、「顧客のためになる」という点では営業もカスタマーサクセスも一緒です。
もし営業をやってきたあなたが「顧客のためになる」ことを考えて仕事をしてきたらなら、その経験はカスタマーサクセスでも活かすことができます。
この記事が、カスタマーサクセスへの転職やキャリアチェンジの参考になれば幸いです。