カスタマーサクセスになるには資格は必要でしょうか?
カスタマーサクセスでキャリアアップするのにおすすめの資格はありますか?
こんな質問をいただくことが少しづつ増えてきました。また、私自身カスタマーサクセスを経験している身としてもよく考えることです。
カスタマーサクセスになるために資格が必要か?というと、
結論、必要ありません!
カスタマーサクセスの転職やキャリアアップに必要なのは、何よりも実経験です。
しかし、カスタマーサクセスの分野は日進月歩で発展しており、分業化や専門化が進んでいるのも事実です。カスタマーサクセスになるのに資格はいらないかもしれないですが、今後の中長期的なキャリアを見たときに役立つものもすでに出てきています。
今回は、知っておくと良いカスタマーサクセスの転職やキャリアアップにおすすめの資格についてお伝えします。
カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキル①:カスタマーサクセスの資格・スキル
まずは、カスタマーサクセスそのものに関する資格やスキルを学べるものです。
SUCCESSGAKO 実戦カスタマーサクセス by SUCCESS LAB
名前 | SUCCESSGAKO 実践カスタマーサクセス |
主宰 | SUCCESSLABO 弘子 ラザヴィ |
特徴 | 実践型講座・コミュニティ |
対象 | マネジメントレイヤー、将来のマネジメント・リーダー |
金額 | 1人で参加 350,000円/名 (税別) 2人以上で参加 280,000円/名 (税別)※2割引き |
時期 | 次回:2022年4/29〜8/5の3ヶ月間 |
SUCCESSGAKOとは、ちまたでは赤本とも呼ばれている『カスタマーサクセスとは何か』の著者でもある弘子 ラザヴィさんが主宰されているカスタマーサクセスの実践講座および実践者コミュニティです。
正確には単なる「資格」よりも、業務での「実践」を重視する場になります。過去これまでに2回実施されています。
対象は、ややマネジメントレイヤー(もしくは将来のマネジメント)向けで、カスタマーサクセスの体制や戦略・実践計画を自社に生み出すための体系的な講座やトレーニングが提供されます。
金額はそれなりにしますので、個人で出す方もいらっしゃると思いますが、どちらかというと会社から研修費等を出してもらって参加する方が多そうです。
過去の参加者の方を見ると、大手企業や有名企業の方も多く、カスタマーサクセスに関心の強い方と繋がり合うことができる場となっています。
SUCCESSGAKO 認定カスタマーサクセス by SUCCESS LAB
名前 | SUCCESSGAKO 認定カスタマーサクセス |
主宰 | SUCCESSLABO 弘子 ラザヴィ |
特徴 | 実践型講座・コミュニティ、認定証あり |
対象 | カスタマーサクセス担当者、カスタマーサクセスに興味のある人 |
金額 | 社会人1人 280,000円 (税込: 308,000円) 大学生1人 180,000円 (税込: 198,000円) |
時期 | 次回未定(前回:2021年9/16〜12/16の3ヶ月間) |
こちらも同じくSUCCESSLABOの弘子 ラザヴィさんが主宰されている実践型の講座・コミュニティです。『実践カスタマーサクセス』がマネジメントレイヤー向けだとしたら、『認定カスタマーサクセス』はややプレイヤー・担当者向けという感じです。
「実践経験は1年未満」の方、「カスタマーサクセスチームに所属した経験はない」方、学生の方でも参加できるようになっています。
現場レイヤー・担当者レベルでも、カスタマーサクセスを実践しようとすると、本当に右も左も分からない中で試行錯誤していく必要があります。何からしたら良いかわからない、まず体系的にカスタマーサクセスというものについてインプットしたい方や、「とりあえずカスタマーサクセスと称してやってきたけどあっているのか確かめたい」という方に適した講座・コミュニティとなると感じます。
Pulse + by Gainsight
名前 | Pulse Plus by Gainsight |
主宰 | Gainsight(アメリカ最大のカスタマーサクセスCRMツール開発会社) |
特徴 | オンライン講座、3つの認定証あり、英語必須 |
対象 | カスタマーサクセス担当者 |
金額 | 900米ドル(1年間) ※時期によってクーポンコードが発行される場合あり |
時期 | いつでもサインアップ可能 |
アメリカのカスタマーサクセスのためのソフトウェア・CRMを開発しているGainsight社によるサブスクリプション型のオンライン講座・コミュニティです。
全て英語ですので、ビジネスレベルの英語力が必要です。コースは、CSMレベル1、CSMレベル2、CSリーダーレベル3の3種類あります。
取得できた資格はLinkedInなどで共有できるようになっているようです。アメリカでは、Gainsightの知名度・認知度も非常に高くなっているので、海外で働きたいという人にとって、信頼性を伝えられる資格の1つになると考えています。
オンライン講座の内容に関しても、Gainsightのソフトウェアの使い方などではなく、「カスタマーサクセス」に関するノウハウやテクニック・考え方になっているので、カスタマーサクセス従事者にとっても嬉しいです。
カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキル②:CRMやMAツールの資格・スキル
次は、CRMやMAツールに関わる資格です。基本的にこれらのツールは、マーケティング・営業の部署で使われることが多かったですが、カスタマーサクセスに力を入れている企業では、カスタマーサクセスのためのツールとして、CRMやMAツールを再構築して使うケースも出てきています。
カスタマーサクセスの文脈で最新のCRMツールやMAツールを使うことができると、キャリアップに繋がると考えています。
Salesforce、Tableau、Pardotの認定資格
名前 | Salesforce 各種認定資格 |
主宰 | Salesforce(世界最大のCRMツール開発会社) |
特徴 | Salesforceが取り扱う各種サービスのプロフェッショナルとして認定してもらえる 学習リソースはオンラインで網羅されている |
対象 | Salesforce製品を導入している企業の従業員 |
金額 | 20,000円(税抜)〜 ※各資格の受験料は資料を確認してください |
時期 | いつでもサインアップ可能 |
CRMツールの中で、日本でも非常に導入が進んでいるのがSalesforce社のSalesforceです。また、BIツールのTableau(タブロー)やMAツールのPardot(パードット)もSalesforce社の製品です。
一般的には、マーケティングや営業における新規顧客の管理システムとして使われていることが多いですが、カスタマーサクセスを取り入れている企業では、これらのCRMツールやMAツールを、既存顧客の管理も含めて使うケースがあります。
これらのツールを新規顧客向けに使う場合と、既存顧客向けに使う場合では微妙に力の入れどころが変わってきます。カスタマーサクセスの視点でCRMやMAツールの構造や使い方を定めていくことができる人材はまだ貴重であり、今後そのような人材がより求められるのではないかと考えています。
もし今在籍している企業で、Salesforce社の製品を導入していたら、いま直接にはそこまで関係なくても資格を取ることを検討してみることはおすすめです。
Marketoの認定資格
名前 | Marketo Engage認定資格 |
主宰 | Adobe |
特徴 | Marketo Engageのプロフェッショナルとして認定してもらえる 学習リソースはオンラインで網羅されている |
対象 | Marketoを導入している企業の従業員 |
金額 | 初級:11,000円(税抜) 上級:27,000円(税抜) |
時期 | いつでもサインアップ可能 |
Marketoは、MAツールの中で最も信頼されているブランドの1つです。MarketoもSalesforce同様で、これまでは新規リードや見込み顧客の獲得のために使われることが多いです。
カスタマーサクセスを取り入れている企業では、既存顧客向けに様々な施策・アクションを実施します。その中でも、MAを用いたアプローチは既存顧客のニーズや関心を発見したり、既存顧客への情報提供を自動化・仕組み化したりする上で非常に重要になってきます。
カスタマーサクセスの文脈で、Marketo Engageを使いこなしていける人材もまだ多くはないので、資格を取得しながら実践の経験があるとキャリアアップに繋がっていくと考えています。
Marketoチャンピオンというものもあります
Marketo Championとは、資格ではないですが、Marketo Engageを使いこなしているリーダーとして表彰されるイベントです。
MAツールを使っている会社であれば価値を認めてもらえるものですので、こういったものを目指すのも1つの方法です。
Hubspotの認定資格
名前 | Hubspot認定資格 |
主宰 | Hubspot |
特徴 | Hubspotのプロフェッショナルとして認定してもらえる 学習リソースはオンラインで網羅されている |
対象 | Hubspotを導入している企業の従業員 |
金額 | 無料 |
時期 | いつでもサインアップ可能 |
Hubspotは、インバウンドマーケティングの先駆的企業のマーケティングツールです。自然に見込み顧客が自社に来てもらえる仕組みを作ったり、そのためのコンテンツを作ったり・配置したりするために使われます。
やはりこのインバウンドマーケティングも、基本的には新規顧客や見込み顧客を呼び集めるためのイメージが一般的です。ですが、このインバウンドマーケティング(コンテンツマーケティング)の考え方は、既存顧客向けにも十分応用できるものです。
カスタマーサクセスの文脈で、Hubspotを使いこなしていける人材もまだ多くはないので、資格を取得しながら実践の経験があるとキャリアアップに繋がっていくと考えています。
カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキル③:IT系の資格・スキル
ITパスポート試験
名前 | ITパスポート試験 |
主宰 | IPA 情報処理推進機構 |
特徴 | ITに関する基礎的な知識を証明できる国家試験 |
対象 | ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生 |
金額 | 7,500円(税込)※2022年4月より価格改定 |
時期 | 受験日はカレンダーより選択可能 |
これまでの資格に比べると、こちらのITパスポート試験は、ややジェネラルな資格です。ITを使う方、ITをお客様に提案する方にとって、押さえておくべき基本知識を学ぶことができます。
現状では、カスタマーサクセス募集している企業はIT業界が多いので、学生やジュニアのメンバーは持っておいても良いと思います。
ただ、これがあるから直接的なキャリアアップに繋がる…わけではありません。あくまで基本知識・一般教養的な位置付けのものです。
これまでなんとなく「IT」と言っていたレベルから、ビジネス上ではどんな観点で注意しながらITを活用していくのが望ましいか自分なり理解できるようになると思います。
そういった知識は、普段の業務でお客様と接するときに生きてくるものだと考えています。
カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキル④:英語
カスタマーサクセスのキャリアにおけるキャリアアップでとても役立つのが「英語」です。外資系企業で、日本でカスタマーサクセスのポジションを募集している場合にほぼ100%「英語」が要件に入ってきます。
しかし、カスタマーサクセス経験があってビジネスレベルの「英語力」がある人も多いわけではないため、英語さえできれば外資系への転職もかなり可能性が高くなります。外資系のカスタマーサクセスポジションは比較的年収も高めですし、海外にも通じるネームバリューがあったりするので、そのようなキャリアアップに興味がある人には非常にお勧めです。
参考までにグローバルでも通じる英語資格を載せますが、日本で就職するのであれば、資格よりも「英語がちゃんと使えるかどうか」だけ見られます。インタビュー(面接)で英語でコミュニケーションが取れれば問題ありません。
TOEFL
名前 | TOEFL |
主宰 | ETS |
特徴 | 全世界の教育機関に受け入れられている国際基準の英語能力想定試験 |
対象 | 誰でも受験可能 |
金額 | $245 = 27,930円(税込)※1ドル=114円換算 |
時期 | 受験日はカレンダーより選択可能 |
IELTS
名前 | IELTS |
主宰 | IDP Education |
特徴 | 全世界の教育機関に受け入れられている国際基準の英語能力想定試験 |
対象 | 誰でも受験可能 |
金額 | 26,400円(コンピューター形式)、25,380円(ペーパー形式) |
時期 | 受験日はカレンダーより選択可能 |
カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキル⑤:統計学・ビジネス数学
ある程度、組織化されたカスタマーサクセスで役立つ可能性が高いのが「統計学」や「ビジネス数学」に関連した資格です。
カスタマーサクセスでは、数百・数千という顧客を同時に見ていくことになります。その際に、いかに顧客データをうまく活用できるかがとても大切になります。
対面から得られる定性的な顧客情報はもちろん大事ですが、顧客数が増加するとそれだけでは全体感が見えなくなります。データを用いて、次のカスタマーサクセスの施策を考案し、実施していくにあたり、統計スキル、データ分析スキル、算数(数学)スキルというものが必要になります。
統計検定
名前 | 統計検定 |
主宰 | 一般財団法人 統計質保証推進協会 |
特徴 | 統計に関する知識や活用力を評価する検定試験 |
対象 | 誰でも受験可能 |
金額 | 6,000円〜10,000円(税込)※級や検定の種類により金額は変わる |
時期 | 年2回ほど開催 ※要事前申込 |
まとめ
以上が、カスタマーサクセスにおすすめの資格・スキルでした。カスタマーサクセスは日進月歩で進化しているため、他にもカスタマーサクセスに役立ちそうな資格・スキルがあれば、随時追加・更新していきたいと考えています。
一方、資格だけあっても十分ではありません。カスタマーサクセスは、答えが見えない中、各社が手探りで試行錯誤でトライし続けるものです。
何より大事になるのは、1社1社で実際にどんなことをやってきたのか、どんなカスタマーサクセスに自分自身が貢献してきたのか、という実体験・リアルな経験です。
また、今回取り上げた資格・スキルはあくまで「ああ、こういう方向性のスキル・経験がカスタマーサクセスに合うのだな」という理解の参考にしてください。SalesforceでないCRMを使ってカスタマーサクセスをより効果的に実現した経験があれば、それはそれで評価されるものだからです。