オンボーディングとは、カスタマーサクセスにおける業務の1つです。またその業務を担うチームを「オンボーディングチーム」と呼びます。カスタマーサクセスとして一番最初に「顔」になるポジションです。
また、顧客が中長期的にサービスを利用し続けてくれる状態になるかどうかを左右する最も重要なパートになるのがオンボーディングです。顧客にサービスやプロダクトを使っていくための設定や利用方法を学んでもらうのですが、顧客やユーザーがちゃんとオンボードできるかどうかは、その後のロイヤルティや解約率にも大きく影響してきます。
今回の記事では、オンボーディングとは何かについて分かりやすく解説します。
オンボーディングとは、最初の「使い始める」を支援すること
オンボード・オンボーディングという言葉は、「(船・飛行機)に乗船・搭乗している」という”On-board”という英語が語源になっています。
カスタマーサクセスにおいては、顧客がサービスやプロダクトを使い始められる(=プロダクトという船に乗船できる)ように、最初の設定や使い方を案内したり、利用開始できたかどうかを見守ったりする(必要であれば適切な支援を提供する)業務を担うのがオンボーディングチームになります。
オンボーディング担当は、サービスやプロダクトの1番最初の顔として顧客に連絡を取ります。顧客によって様々なタイプや状況があるため、顧客ごとの状況や心情を理解しながら相手を動かし、自社で設定しているオンボーディングの流れに乗せていくことが大切なことになります。
オンボーディングの仕事をまとめると…
- 契約を完了した顧客に連絡を取り、使い始めていくためのスケジュールや手順などを伝えること。
- オンボーディング顧客のサービス・プロダクトの利用状況をウォッチすること。
- タイミングや必要に応じて、顧客に情報やサポートを提供していくこと。
- 自社で定めたオンボーディングフローに乗せていくこと。
オンボーディングは、まさに顧客の商品やサービスの利用の出発点です。それまでの営業段階で期待で購入してくれた商品・サービスを実際に使い始めるタイミングです。大きな期待を持ってくれていたとしても、まずやるべきことは「初期設定」や「活用のための機能・システム理解」といった地道なことになります。
ここでは、相手の期待を維持しながら、地道な作業をしっかりと行ってもらうことが大切になります。一方、顧客の中には契約者と使用者が違うケースも多くあります。つまり、契約者は期待を持っているけど、使用者は全く商品やサービスを知らないし期待もないという状況もあり得ます。
オンボーディングに向いている人
- 顧客の成功や変化を喜ぶことができる人。
- 困っている人やつまずいている人を助けることができる人。
- リードできる人。相手の状況や性格を理解しながら、決まったフローに乗せていける人。
- 数十から100ほどの顧客を抱えながらも、適切な優先順位をつけることができる人。
オンボーディングに向いている人はざっくりと2タイプあります。1つは「相手に寄り添える人」そしてもう1つは「相手をリードできる人」です。カスタマーサクセスでは、相手を動かしていくこと、オンボーディングでは自社のオンボーディングフローに乗せていくことが求められます。相手に寄り添うことが得意でも、受け身になってしまうだけではうまく行きません。
オンボーディングに向いていない人
- 相手の状況を理解するのが苦手な人。
- 同じ相手と中長期で関係性を築いていくことが好きでない人。
- 淡々と地道に同じことを繰り返していくことが好きでない人。
オンボーディングの業務は、地道な仕事です。オンボーディング期間の目的地・ゴールは明確になるため、いかに顧客をゴールへ導いていけるかが重要になります。淡々と顧客に連絡を取り、地道にそのゴールに向かって顧客に働きかけていくことは時に機械的とも感じられるかもしれません。
また先ほど書いたように、「相手に寄り添う」だけではなく「相手をリードする」ということも大切になります。自分自身で自信を持って相手に懐に入って動かしていくということが苦手な人、受け身になりがちな人は苦戦する可能性があります。
オンボーディングの仕事をするとどんなメリットがあるか
オンボーディングでは、基本的に契約をしてくれた全ての顧客に接点を取りにいくので、良いお客様も簡単でないお客様も様々なタイプの顧客と向き合うことになります。「ロイヤルユーザーや先駆的なユーザーだけではなく、顧客にはさまざまなタイプがある」ということを理解できます。その幅広さや奥深さを理解しながら、相手に合わせた提案ができるようになるでしょう。
また、複数の顧客を抱えながらいかに効果的に顧客を動かしていくのか、その戦略や優先度を決めていくことが重要になります。契約初期のユーザーに対して、サービスやプロダクトの価値をどのように伝えていくことができるのかを学ぶことができます。
カスタマーサクセス オンボーディングの求人例
「お申込み頂いたクライアントに対して使用前にキックオフを実施」ということが書いてあります。顧客がどういう顧客なのか、必要な情報を集めておいて、キックオフ資料を作る場合が多いです。大体何社・何顧客を自分自身が担当するのか、また毎月の新規契約数がどれくらいなのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
オンボーディング支援から、アップセルやクロスセルなど幅広い業務が書かれています。このような求人の場合は、自分がどこを担当してみたいかを考えておき、企業がどのポジションをより優先的に欲しいと考えているかをしっかりと把握することが大切です。
オンボーディングへのキャリアパス
オンボーディング担当になるためのキャリアパス・ルートはいくつかあります。
まず1つは、その企業の中でカスタマーサクセスマネージャー(CSM)になり、その後オンボーディングへ異動する(もしくは立ち上げる)という流れです。
そして、もう1つの方法は、ダイレクトにオンボーディングになるというキャリアパスです。カスタマーサクセス経験がなくてもオンボーディングの募集が行われていることは多いです。営業やサポート・接客などのコミュニケーションの経験があれば狙っていけるポジションです。
カスタマーサクセス未経験でオンボーディングのキャリアパスを検討する場合には、必ず転職希望先の企業の顧客やカスタマーサクセスについて理解を深めておきましょう。